標準型電子カルテは「待つべきか、今入れるべきか」— 判断の3つの問い
最終更新 2026.07
「国が標準型電子カルテを作るなら、それを待った方が安いのでは」——電子カルテの更新期を控えた診療所や中小病院で、いま多く聞かれる問いです。たしかに製品費は下がるかもしれません。ですが「待つ」という判断そのものが、現場の停滞と、数年後の移行負担を静かに積み増している可能性があります。
Ajmokhは、医療機関のDX・電子カルテ導入判断を、制度の読み解きと運用設計の両面から支援します。
「待てば安い」の前提を確かめる
標準型電子カルテは、デジタル庁が開発し厚生労働省が主導する、クラウド型(ガバメントクラウド対応)の電子カルテです。α版は2025年3月に山形県の診療所で提供が始まり、2026年度中の完成を目指す段階です。国は2030年までに概ねすべての医療機関での導入を目指しています。一般診療所の電子カルテ普及率は55.0%にとどまり、標準型はこの「入れられない」層に廉価な選択肢を届ける施策でもあります。
つまり「待てば安い」は、製品の値段については一理あります。問題は、値段が下がっても消えないコストがどこにあるか、です。
難所は製品ではなく、自院の運用にある
電子カルテの導入は「製品を選ぶ」問題に見えて、実際は「自院の運用をどこまで標準に寄せるか」という運用設計の問題です。クラウドのSaaSは標準に合わせて使う思想なので、独自に作り込んだ帳票、院内の申し送りルール、部門ごとのワークフローは、そのままでは載りません。移行の一番の難所は、製品の乗り換えではなく、この運用の作り替えのほうにあります。そしてこの作り替えは、標準型が完成してから着手しても同じように必要になります。むしろ待つほど、旧来の運用に依存した業務が増え、後年の移行はより重くなりがちです。
待つ/今入れるを分ける3つの問い
第一に、更新期の有無。現行カルテの保守切れや老朽化が近いなら、「待つ」ための空白期間そのものがリスクになります。第二に、運用標準化の余地。自院の帳票やルールを標準に寄せられる余地が大きいほど、標準型は載せやすくなります。第三に、加算や連携の要件。診療報酬や施設間連携で、いつまでに何が求められるか。この期限が「待つ」の許容範囲を決めます。
そして、待つと決めても今入れると決めても、共通してやっておけることが一つあります。この数年のうちに「どの運用を標準に寄せるか」を一つ決めて動かしておくことです。帳票の見直しでも、入力ルールの統一でもかまいません。運用を標準に近づけておく準備は、待つ側にも今入れる側にも、等しく効いてきます。
よくあるご質問
標準型電子カルテとは何ですか?
デジタル庁が開発し厚生労働省が主導する、クラウド型(ガバメントクラウド対応)の電子カルテです。α版が2025年3月に山形県の診療所で提供開始され、2026年度中の完成が目途とされています。
待った方が安いですか?
製品価格は下がる可能性がありますが、自院の運用を標準に合わせ替えるコストは待っても消えません。待つほど旧来運用に依存した業務が増え、後年の移行が重くなりがちです。
待つか今入れるかは何で判断しますか?
現行カルテの更新期、運用を標準に寄せられる余地、加算や施設間連携の期限——この3点で判断します。
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